抄録
多結晶材料の諸特性は、これを構成する結晶粒の配向性の影響を強く受ける。特に、α-Al2O3などのように結晶構造に異方性を有する材料ではその傾向は強く、個々の結晶粒の方位を揃える(配向させる)ことによりその諸特性の改善を図ることも期待できる。近年、強磁場中でスリップキャストすることにより、Al2O3のようなセラミックスでも配向組織を高度に制御できることが報告されている。本研究では、鈴木ら[1]により開発された新規組織制御手法(コロイドプロセスと強磁場の併用)を用いて配向組織を高度に制御した多結晶Al2O3を作製し、高温引張特性に対する配向組織の影響・効果について検討する。