抄録
半導体デバイスの基板として広く用いられているCZ-Siウエハには過飽和に酸素原子が含まれ,デバイス作製の際の熱処理により酸化物(酸素析出物)として析出する。酸素析出物は,表面近傍のデバイス活性領域にあるとデバイス特性に悪影響をおよぼすことが知られているが,近年デバイスの微細化に伴い表面近傍のより微小な酸素析出物の精密な制御が求められている。制御のためにはそれらを検出し, 分布やサイズ, 形態を評価する技術が不可欠であるが,広く用いられている薬液エッチング法や光散乱法では検出感度が不十分である。また, 極微小な析出物の観察にはTEMが有効であるが, 観察範囲が限られるため, 低密度の酸素析出物の分布や形態を評価することは困難である。我々は,上記要求に応える技術として,高選択比異方性ドライエッチングを利用して酸化物を含むSi中の結晶欠陥をnmオーダの感度で検出する手法を提案した。