抄録
水酸アパタイト(HA,Ca10(PO4)6(OH)2)の有機物を吸着しやすい特性を利用して、HA顆粒をDDS(Drug Delivery System)として応用する研究が盛んに行われている。これまでに我々はα-リン酸三カルシウム粉末とゼラチン水溶液を混合したスラリーを油中に分散させ、その後、回収、焼成および水熱蒸気処理を施すことによって、HA柱状粒子からなる球状顆粒の作製ができることを報告した。また、合成の際に分散条件を変化させることで、その粒径を制御できることを明らかにした。HA顆粒の粒径を制御し、さらにその吸着特性をコントロールできれば、癌治療や骨再生などに応用が期待される。