抄録
本研究ではBa3Co2O6(CO3)0.7の単結晶試料をフラックス法により合成し、その結晶構造解析を行った。Ba3Co2O6(CO3)0.7の空間群はP-6、格子定数はa=9.6936(4)Å、c=4.75707(17) Åであった。Ba3Co2O6(CO3)0.7はCoO6八面体が面共有でc軸方向に配列したCo-O一次元鎖を有し、Baは各Co-O鎖の間に位置する。その構造は2H-ペロブスカイト型のBaCoO3と類似しているが、Ba3Co2O6(CO3)0.7においてはBaCoO3構造にみられるCo-O鎖の3本に1本が,CO3炭酸基が統計的に配置するサイトに置き換えられている点で構造が異なる。また、Ba3Co2O6(CO3)0.7の導電率を評価したところ、Co-O鎖方向において金属的な挙動が観察された。