抄録
演者らは,PVP支援ゾル-ゲル法により,1回のコーティング操作で亀裂のないサブミクロン以上の厚さをもつPZT薄膜が作製できることを報告してきた。PZT薄膜の強誘電性や圧電性は結晶学的配向性に大きく影響される。しかしながら,PVPを含有する前駆体溶液から作製されるPZT膜は,焼成中のPVPの燃焼により多孔質化する可能性があり,結晶学的配向が困難になることが予想される。そこで,本研究では,PVP支援ゾル-ゲル法により1回のコーティング操作で作製されるサブミクロン厚のPZT膜の配向性に及ぼす熱処理条件の影響について明らかにするため,X線回折測定,微細構造観察,屈折率測定を行った。