抄録
リチウムイオン二次電池の正極材料であるLiMn2O4はクエン酸ゾルゲル法により低温合成することで高出力化に有利な微粒子を得ることができるが、熱処理時に前駆体が燃焼することによって不均一な粒成長が起こってしまう。そこで本研究では適当な熱処理条件により前駆体の燃焼を抑制することで、LiMn2O4の微細構造を制御し、その出力特性を評価した。前駆体の燃焼が起こった試料の粒径は50~200 nmであったのに対し、前駆体の燃焼を抑えた試料の粒径は70 nm程度であり、均一な粒子が得られた。また、10 A/gという高電流密度時の放電容量はそれぞれ46、74 mAh/gであった。前駆体の燃焼を抑えることで微細構造を制御し、出力特性を向上させることに成功した。