抄録
セラミックスの有限温度での熱膨張係数について,第一原理フォノン状態計算による研究を行った.フォノン状態の計算にはスーパーセル中に原子変位を導入する直接法を用い,原子に働く力の計算には平面波基底PAW法(VASPコード)を用いた.いくつかの体積についてのフォノン状態密度の計算から有限温度における自由エネルギーの体積依存性を求める擬調和近似にもとづき,平衡体積および熱膨張係数を評価した.アルミナをはじめとするいくつかの無機結晶性材料について熱膨張係数の計算を行い,また熱膨張に対するドーパント効果についての理論的解析を試みた.