抄録
SiC長繊維強化SiCマトリックス(SiC/SiC)複合材料は、先進エネルギーシステム用構造材料として期待されている。SiC/SiC複合材料の機械的特性及び破壊挙動は、繊維とマトリックス間の界面に大きく依存する。一般に、SiC/SiC複合材料の繊維とマトリックス間界面の候補原料としては炭素、形成法としては化学気相蒸着法(chemical vapor deposition,CVD)が用いられる。しかし、CVD法はコストが高く、連続プロセスに限界がある。一方、ポリマー熱分解法は低コストでかつ連続プロセスが可能であるが、ポリマーから得られる炭素の収率が低いため繰り返しプロセスが要求される。従来、C/C 複合材料においては炭素粉末を添加することによりマトリックスの低い収率のため発生する気孔を減少させる研究が行われている。このようなプロセスの応用として、本研究ではSiC繊維の被覆材にフェノールの低い収率を改善するため炭素ナノ粉末添加フェノールを用いた。その結果、1回プロセスで炭素被覆が可能であった。それと共に、繊維とマトリックス間界面の厚さ、炭素ナノ粉末の量及び界面の形状がNITE-SiC/SiC複合材料の破壊挙動及び微細組織に及ぼす影響について検討した。