抄録
地球上に豊富に存在して安価であるという制限から,耐火物に利用されてきた元素の種類は決して多いとは言えないが,限られた元素の組み合わせを工夫して,適切な微構造設計を施すことにより,必要とされる機能が耐火物原料に付与されてきた.このようにして生み出された新原料の活用と,製造技術の進歩により耐火物の性能は飛躍的に向上している.
我々のグループはこれまでの研究で(Zr, B, Al, Si)-Cの組み合わせからなる複合炭化物の特性を調査し, Al4SiC4やAl8B4C7など,複数の金属元素を含む複合化合物が耐火物原料として有望であることを見出してきた.本研究では,比較的研究例が少ないTi-Al-C系複合炭化物の耐火物原料への適用の可能性を探ることを目的とし,粉末合成条件の把握実験を実施.複合炭化物粒子の生成メカニズムについての検討を行った.