抄録
セラミックスの製造プロセスにおいて、分散スラリー調製は湿式成形体及びその焼成体特性を決定するだけではなく、乾式成形で用いる顆粒製造においても重要な工程である。これまで我々は、一般的にスラリー調製で用いるボールミルプロセスでは過剰な衝突・解砕エネルギーによって粒子表面が損傷し作製した分散スラリー中の粒子は再凝集するのに対して、解砕エネルギーの小さな湿式ジェットミルプロセスでは再凝集性の低く且つ高粉体含有の安定分散スラリーを調製でき、成形体密度(粒子充填)並びに焼結体特性が飛躍的に向上することを示してきた。本研究では、湿式ジェットミル並びにボールミル処理したスラリーの溶液を用いてアルミナ粒子とサファイア基板間の粒子間相互作用をAFMコロイドプローブ法によって検討し、それぞれのミル処理におけるスラリーの安定性の違いを調査した。