日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2008年年会講演予稿集
セッションID: 1J30
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紫外線照射の有無によるアナタースの電子密度分布の変化
*伊藤 謙一奥寺 浩樹
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抄録
 アナタース(TiO2)は,紫外光による光分解機能や超親水性を示す有効な光触媒材料として注目されている.光触媒活性は紫外光照射により,価電子帯の電子が励起され伝導帯に移ることと,これによって価電子帯に正孔が生じるためであると言われている.本研究では電子密度分布を詳細に知ることができ,結晶構造を視覚化するための最も有効な手法である単結晶X線回折法を用いて紫外光照射により励起されると考えられる電子の空間分布の検出を試みた.
紫外光励起された電子は価電子帯から伝導帯の中でもエネルギーが最も低いTi t2g dxy 軌道に入ると考えられるが,Ti t2g dxy 軌道が乗っているであろうxy面(z=0.5)での電子密度分布の結果から、Ti席の周囲に正の残差電子が集中しており,特に<110>に約0.027nm離れた位置で残差電子の最大値が見られた.この残差電子密度がTi t2g dxy 軌道の方向に対応することは,紫外光励起に伴う電子密度分布の変化を直接に表しているのではないかと考えられる。
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©  日本セラミックス協会 2008
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