抄録
ラマン散乱スペクトルとアモルファス水素化炭素(a-C:H)膜の関係として、a-C:H膜の水素組成が増えると、膜のクラスターを水素原子が終端するなどし、膜の真密度が減少し、膜を構成する炭素クラスターの規則性が乱れ、クラスターサイズが小さくなると考えられる。本研究は膜の真密度と水素組成を構造パラメータとし、膜のラマン散乱スペクトルで観測されるGバンド及びDバンドが膜の構造を反映するのかを確認した。紫外ラマンでは真密度の増加に従ってID/IGは減少した。水素組成が増加すると紫外ラマンではID/IGが水素組成20 at. %で最大となった。この結果より、水素組成の増大と共に炭素クラスターの規則性が乱れ、水素組成20 at. %以上でクラスターサイズが小さくなると考察される。