抄録
電気光学効果を利用した小型光変調器は、ホームネットワーク実現に不可欠のデバイスである。しかし、強誘電体薄膜の電気光学効果の発現機構は必ずしも明らかになっていない。そこで本研究では、Ba0.5Sr0.5TiO3(BST)薄膜について、誘電率と電気光学効果の関わりについて検討した。試料にはSrTiO3基板上にRFマグネトロンスパッタ装置を用いてエピタキシャル成長させたBST薄膜を用いた。電気光学効果による複屈折と同時に試料の誘電率も測定できる装置系を作製した。測定の結果、DCバイアス電圧による誘電率の変化率に比べ電気光学効果による屈折率の変化率は非常に小さいことが明らかとなった。誘電率はイオン分極等の低周波で有効な分極に由来し、屈折率は電子分極に由来する為である。