抄録
人工超格子中には自然界には存在しない新しい構造を自由に導入できるため、人工超格子は既存の材料を上回る物性を発現する可能性がある。本研究では、誘電体と導電体を組み合わせた新しい人工超格子を作製することを目的とした。誘電層としてBaTiO3/SrTiO3系人工超格子を、導電層としてSrRuO3を選択し、分子線エピタキシー法を用いてハイブリット人工超格子薄膜を作製した。蒸着源の精密制御及びXRDによる構造解析によってSrRuO3導電層を誘電体超格子内に導入することに成功した。また微小な平面電極を用いて作製した人工超格子薄膜の誘電特性の評価を行ったところ、ハイブリッド人工超格子は通常の誘電体人工超格子には見られない巨大なキャパシタンスを100KHz以下の低周波領域で示すことが明らかとなった。