抄録
歪んだペロブスカイト構造をとるLa1-xAexCrO3(Ae=Ca, Sr)は固体酸化物形燃料電池のインターコネクター材料として注目されている。本物質には室温~燃料電池作動温度内に構造相転移を伴う体積収縮があること、および焼結性が低いことが問題となっている。我々はCaとSrの二重置換により焼結性が向上すること、およびSr組成の増加に伴い相転移温度や相転移エンタルピーが低下することを明らかにしてきた。しかしながら相転移での熱力学量変化と結晶構造変化の関係はクリアにはなっていなかった。本研究では温度可変中性子回折によりLa1-x-yCaxSryCrO3の相転移に伴う構造歪み変化を直接観測し、Sr量の増大に伴い構造歪み変化が減少すること、およびこの減少が相転移のエンタルピー変化の低下と対応することを明らかにした。