抄録
接触角測定結果より表面誘起電荷は固体表面の接触角に影響を及ぼすことが見いだされた。すなわち、分極処理を行ったHA表面(N-HA、P-HA)は対照群であるO-HAに比べて接触角が小さくなった。このことから分極HA表面はO-HAよりも親水性が高いことがわかる。しかし、XRD、XPSスペクトルには変化が見られなかった。個々の細胞接着形態の観察より、表面誘起電荷は骨芽細胞の接着形態に影響を及ぼすことが確認された。N-HA及びP-HA上の細胞は、初期接着段階においてより広く伸展し、細胞質内部における旺盛なストレスファイバーの形成が観察された。各細胞のアクチン陽性面積を測定すると、N-HA、P-HAはO-HAに比べて広く伸展していた。このことから分極HA表面はぬれ性と細胞接着に効果を及ぼすことが確認された。