抄録
高誘電率誘電体薄膜を用いた薄膜容量素子は、受動部品の高集積化や薄型化に加え、チューナブルキャパシターとして用いることができるなど従来の個別電子部品にはない特徴を有するため、とりわけ小型高周波回路への応用が期待されている。また、高誘電率誘電体薄膜を絶縁膜に用いた容量素子には、(1)印加する電圧が極めて大きな電界に相当するため誘電体材料の電気特性に電歪の影響が発現する、(2)支持基板が存在するために材料間の熱膨張係数差に起因して誘電体層に面内応力が発生する、(3)MLCCに比べ体積あたりの表面の割合が高いためプロセス中で発生する水素原子に触れることにより容量素子の電気特性がその影響を受けやすい、など従来の個別受動部品にはない特徴を併せ持つ。
本講演では、薄膜容量素子が有する特徴の紹介に加え、最近の技術開発の進捗について報告する。