抄録
岩塩型炭化物MC(M=Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta)の中性子回折測定を行い室温での格子定数や構造パラメータを決定し、さらにTaCについては高温中性子回折により格子定数や構造パラメータの温度依存性を検討した。TaCの格子定数と単位胞体積は温度の上昇と共に増加した。その時、各温度間で与えられる熱膨張係数の平均値は、α=(1/a)(da/dT)=(6.4±0.3)×10-6 oC-1であった。温度の上昇と共にTaの原子変位パラメータUii(Ta) (i=1,2,3)およびCの原子変位パラメータUii (C) (i=1,2,3)は増加した。各原子間距離は、温度の上昇と共に増加した。室温における岩塩型炭化物MCの格子定数と単位胞体積は、金属元素Mのイオン半径の増加と共に増加した。およびCの原子変位パラメータUii (C) (i=1,2,3)、 Uii (M) (i=1,2,3)と金属元素Mのイオン半径の間に相関は見られなかった。原子間距離は、金属元素のイオン半径の増加と共に増加した。