抄録
12CaO・7Al2O3(C12A7)結晶はアルミナセメントの1成分として知られている透明で安定な絶縁性酸化物である。特徴的な結晶構造をとり、単位格子は2分子単位に相当するCa24Al28O66を含み、正に電荷した12個のケージからなる骨格[Ca24Al28O64]4+で構成されている。過剰な2個の酸素イオン(自由酸素イオン)は、結晶骨格の正電荷を補償するように12個中2個のケージに包接されている。この自由酸素イオンを電子で置き換えることにより(C12A7:e-)、高い電気伝導性(1500 Scm-1)と低い仕事関数(2.4 eV)を有するようになることが、我々のグループにより見出され、電子デバイスへの応用が期待できるようになってきた。発表では、主にC12A7:e-薄膜の作製法と光学的・電気的特性について述べる。