抄録
本研究では、気相成長炭素繊維(VGCF-S)について、凝集のない高分散状態とするために超微粒化処理を行い、アルミナ粉末と混合し、その焼結特性と機械的性質を検討した. VGCF-Sを0.8 wt%添加した複合体は, 真空焼成およびHIP処理によって、相対密度が99.6%に達した。CNTは複合体中に均一に分散しており、CNTの高分散に対して超微粒化処理は効果的であった。 また、この複合体の破壊靱性は4.2 MPa m0.5の値を示し、コントロールのアルミナ焼結体の破壊靭性3.5 MPa m0.5に対し20%向上した。ビッカースクラックの観察から、CNTのブリッジングやプルアウトが確認でき、それらの効果による高靭化機構が発現したと考えられる。