抄録
アルミナはワイドバンドギャップ、高誘電率、熱的・化学的に安定等の優れた特性を持ち、機械的セラミックス材料として広く利用されている。近年では、トンネル磁気抵抗(TMR)素子の絶縁層材料としても優れた性能を実現できることから注目を集めている。TMR 素子応用のためには膜中での電子散乱を抑えるため絶縁層を結晶化させることが重要であるが、アルミナは結晶化させることが非常に難しいことも知られている。通常1000oC近くの高温で成膜することでアルミナを結晶化させることは可能であるが、高温成膜では表面・界面が荒れてしまいナノレベルのデバイス応用には不利である。そこで本研究では、PLD法と水素還元法を併用することによりアルミナ薄膜を強磁性金属層上に低温でエピタキシャル成長させることを目標に種々の条件下で実験を行った。