抄録
窒化アルミニウム(AlN)は高熱伝導性、高絶縁性などの優れた特徴を持つことから近年、LED(Light-Emitting-Diode)やIGBT(Insulated Gate Bipolar transistor)用の絶縁放熱基板に応用されている。更に、AlNセラミックスは広いバンドギャップを有することから、可視光領域では透明であることが知られており、透光性を活かした用途開発が進められている。これまで、透光性AlNの開発やそのメカニズム解明に関する研究は多くの研究者により行われてきた。しかしながら、その焼結過程における格子欠陥の生成と最終的な焼結体物性との関係については十分な研究が行われておらず不明な部分が多い。そこで、本研究ではAlNセラミックスの焼結過程における欠陥生成の挙動を、原子空孔型欠陥を高感度に検出できる陽電子寿命測定法を用いて検討を行った結果について報告する。