抄録
医療用金属チタンの骨組織結合性を高めるために,生体環境下で表面に自発的に骨類似アパタイト層を形成させる性質を付与することは有効な手段である。金属チタン板の熱酸化で形成した酸化チタン層は,擬似体液(SBF)中でアパタイトを析出しない。しかし,この板状試片2枚を対面配置させ,SBFに浸漬すると両方の表面上にアパタイトが析出することを確認した。オートクレーブを金属チタンに施すと,高温高圧の飽和水蒸気により表面で加水分解反応が起こり,アパタイトの核形成に有利なTi-OH基や水和酸化チタン層が形成すると考えられる。本研究では,熱酸化で形成した酸化チタン層にオートクレーブ処理を施し,隙間環境下でのin vitroアパタイト形成能を評価した。