抄録
水酸アパタイト(HAp)は性質の異なる2つの結晶面を有し、生体内の配向状態が存在部位によって異なることから、結晶面の違いが細胞の分化に対して何らかの影響を与えていると考えられる。そこで、我々はc軸に配向したアパタイトファイバーを用いて、a面を多く露出したHApセラミックス緻密体を作製し、そのセラミックス上での株化骨芽細胞(MC3T3-E1)の培養を行い、培養初期における骨芽細胞の分化マーカーの遺伝子発現について調べた。その結果、a面を多く露出したHApセラミックスは培養初期の段階で後期の分化マーカーを発現していたが、等方的なHApセラミックスでは発現していなかった。以上の結果は、HApの配向性は骨芽細胞の分化を促進する作用を有する可能性があることを示唆している。