抄録
熱ポーリングは誘電体に熱と電場を同時に加え、試料に誘電分極や内部電場を誘起する手法である。これまで、移動度の高いイオンを含むガラスに対する熱ポーリング過程が研究され、カチオンのカソード側への移動、それに伴うアノード側近傍での局所的な高電場の形成などの現象が報告されている。当研究グループではテルライトガラスを市販のカバーガラスで挟んで熱ポーリング処理を施すことにより、通常は酸化反応が起こるアノード側で還元反応が起こり、ガラスの表面近傍に銀微粒子が析出することを見出した。今回、熱ポーリング処理により銀微粒子を析出させたテルライトガラスにおいて銀微粒子の表面プラズモン共鳴波長付近に特徴的な旋光現象を見出したので報告する。