日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
第24回秋季シンポジウム
セッションID: 1K18
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貝殻にみる炭酸カルシウム-有機高分子ハイブリッド構造
*小暮 敏博鈴木 道生横尾 直樹奥村 大河長澤 寛道
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抄録
貝殻を構成する炭酸カルシウム結晶中にはタンパク質や多糖などの有機高分子が多く含まれている。この結晶内有機高分子は、その分子量から考えて数nm程度の大きさをもつと考えられ、実際に透過電子顕微鏡等により、その程度のサイズの“ボイド”が炭酸カルシウム結晶中に観察される。二枚貝の受精後数日で胚表面に形成される幼殻では、あられ石でできた数mの厚さの殻の中に組織の異なる3層の構造をつくるが、TEMで観察すると中層のみに有機高分子が卓越して含まれ、この幼殻中の多層構造の形成は、この有機高分子の選択的な導入によって実現されている可能性が考えられる。また真珠養殖に用いるアコヤガイの外層(稜柱層)を構成する炭酸カルシウム結晶中には、有機高分子があたかも結晶を~200 nm程度の領域に区画するように偏在し、領域間でわずかに結晶方位の異なる“モザイク構造”を形成している。これら貝殻に見られる炭酸カルシウム-生体高分子ハイブリッド構造について、講演を行う。
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©  日本セラミックス協会 2011
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