抄録
Bi層状強誘電体に属するBi4Ti3O12(BiT)は、大きな自発分極と高いキュリー温度を持つことから、有望な非鉛強誘電体として盛んに研究が行われている。BiTの単結晶についても過去40年にわたり研究されてきたが、圧電定数などの応用上重要な物性は決定されていない。理由として、育成時に多量の格子欠陥が生成して、特性が大幅に劣化することが挙げられる。本研究では、新規に開発した高圧酸素下TSSG法によって得られた高品質BiT単結晶を用いることによって、圧電特性の異方的性質を評価することができた。結晶<110>方向の電界誘起歪み測定において、<100>方向(d* = 37 pm/V)と比べて大きな圧電歪み(d* =56 pm/V)を示すことが明らかとなった。また、大きな圧電歪みを示した結晶において、幅5~20 μmほどの緻密な90°ドメイン構造が形成されていた。微細な90°ドメイン構造の導入によって、BiTの圧電特性が向上することが強く示唆された。