抄録
本研究では、水熱法において有機カチオンの一つであるテトラメチルアンモニウム(N(CH3)4+を用いた表面修飾の有無により、結晶子径約5nmの単斜晶および正方晶ジルコニアナノ結晶の選択成長に成功した。出発原料にはZrOCl2•8H2Oを用い、これを蒸留水に溶解した後、N(CH3)HCO3/N(CH3)OHまたはKHCO3/KOHを所定の割合で溶解した水溶液と混合し、塩基性炭酸ジルコニウム錯体水溶液を作製した。この溶液を150℃で水熱処理することによりジルコニアナノ結晶を合成した。透過電子顕微鏡観察、粉末X線回折、ラマン分光分析、紫外-可視吸収スペクトル解析より、N(CH3)4+で表面修飾されたジルコニアナノ結晶は、格子欠陥の少ない純粋な単斜晶を有しており、その結晶子径は約5nmであった。一方、KHCO3/KOHの系では、粒子径は約5nmと同程度であったが、得られたナノ結晶は、正方晶を有しており、多くの格子酸素欠損を含んでいることが示唆された。