抄録
現在セメント産業では、セメント原料として廃棄物を用いることで廃棄物の処理を行っている。日本では年間約5000万トンのセメントが生産されているが、その量は年々減少している。セメント産業においてそれに伴い廃棄物の処理量を確保するためにはセメント1tあたりの廃棄物処理量を増大させる必要があり、その際には石炭灰などの廃棄物中にはAl2O3が多く含まれているためセメントクリンカー中の間隙相も増加する。特にアルミネート相(3CaO・Al2O3、以下C3A)の量が増大すると、セメントペーストの流動性が悪くなり、石灰石微粉末やセッコウによる改善方法を既に筆者らは報告している。また、著者らは、セメントの遊離石灰がC3Aの初期水和を抑制することも報告している。以上より、本研究では、C3A含有量を増加させたセメントにおける、遊離石灰およびそれに石灰石微粉末を併用した場合の流動性について検討を加えた。