抄録
本研究では、Si3N4の低温緻密化を促進することが報告されているHfO2を焼結助剤としてSi3N4-Y2O3-Al2O3-AlN系に添加してCNT分散Si3N4セラミックスを作製し、高強度化及び高導電率化を図ることを目的とした。HfO2の代わりにTiO2を添加した試料では焼成温度の増加と共に導電率が増加するのに対して、HfO2を添加した試料ではいずれのCNT添加量でも焼成温度が低いほど高い導電率を示した。HfO2が炭素材料の耐酸化性を向上させると報告されていることを考慮すると、このような特性の向上はHfO2が低温焼結を促進したことと、炭素材料と親和性のよいHfO2がCNTを高温での反応から保護したことに起因すると考えられる。曲げ強度は焼成温度1700℃にてCNT添加量0.5wt%のとき932MPa(HfO2添加系)および842MPa(TiO2添加系)となり、HfO2添加系の方がTiO2添加系よりも高い曲げ強度を示した。