抄録
NaOHに続きHClに浸漬した純チタンを873Kで加熱することにより形成される表面膜は,擬似体液(SBF)中で高いアパタイト形成能を示す.その熱処理温度と形成される表面膜の性質に関してはこれまで深く論じられていない.本研究では,NaOH-HCl処理純チタンを異なる温度で熱処理して得られる表面膜の特性とアパタイト形成能の関係について調べた.その結果,アパタイト形成能は673>773>873>973Kの順に高く,573Kおよび1073K熱処理ではSBF浸漬3日以内にアパタイトが形成しなかった.各処理試料表面のNaCl水溶液中でのζ電位を調べた結果,673K以下では熱処理温度の上昇とともに正に大きな値をとり,673K以上では低下した.以上の結果より,試料表面のアパタイト形成能はζ電位が正に大きくなる場合に高くなると言える.