抄録
TiO2は紫外光で励起して有機物の分解活性や光誘起親水性を示すことで代表的な光触媒材料であり、様々な分野に応用されている。一般的に使用されているのは合成が容易なアナターゼ型やルチル型である。他相としてブルッカイト型があるが、ルチル型、アナターゼ型に比べ合成が困難であるがためにその性質はあまり研究が進んでいなかった。近年、冨田らにより水溶性チタン錯体を用いることで1次元型ナノロッドのブルッカイト型酸化チタンの単相合成が報告された。しかし、このブルッカイト型酸化チタンは高結晶性だが凝集が顕著に見られ、薄膜化へのコーティング材料として用いるのは困難であると考えられる。近年、谷口らにより粒子表面をオレイン酸修飾することにより高分散性の無機ナノ粒子の合成についての報告がされた。これらのことを踏まえて本研究ではグリコール酸チタン錯体にオレイン酸ナトリウムを添加する脂肪酸被覆水熱成長法を用いることにより高分散性ブルッカイトナノ粒子の合成を試みた。