抄録
機械・建築・自動車等、様々な分野で振動対策は重要な技術であり、構造材料自身に高い制振性を付与することは現在のレベル以上の微細な制御や観察をするために有効と考えられる。本研究ではセラミックス多孔体を基材とした高剛性な制振材料の開発を進めてきた。セラミックスは一般に剛性が高く制振性は低いが、本研究ではチタン酸アルミニウム(Al2TiO5)系に着目し、Al2O3-TiO2-MgO系において異常粒成長を促進させ、非常にアスペクト比が高い数十~200μm程度の長大な粒子が複雑に成長し、かつほとんどの粒界に微細な亀裂状の気孔が生成した微構造を得た。本開発材料は非常に大きな可撓性により粒子界面において機械的な摩擦を生じ、剛性は低いものの高い内部摩擦(Q-1=0.03)を示した。さらに高分子と複合化することで、ヤング率50~60GPa、内部摩擦0.01~0.03の、高剛性と制振性を併せ持つ材料を開発できた。複合材料の特性には高分子の特性が大きな影響を与えることがわかった。