抄録
バイオシリカ中に含まれる長鎖ポリアミンと類似した構造を有する直鎖状ポリエチレンイミン(LPEI)は結晶性ポリマーであり、水中で加熱溶解後、冷却することでファイバー状の結晶を容易に形成する。さらにこの結晶表面は塩基性であり、LPEI結晶単独でシリカを複製するテンプレートとして機能する。我々はこれまでにこのLPEI結晶を用いてシリカの作製を行ってきた。今回、LPEIの結晶化条件を種々の添加剤により制御し、様々な形状のLPEI結晶とシリカの作製を行った。またこのLPEI結晶は水中からだけでなく、基板表面においても作製可能であり、結晶化条件を精密に調節することによりネットワーク状や芝状といった水中では形成困難な階層性を有するシリカ薄膜を作製することができた。