抄録
カーボンナノチューブ(CNTs)は大きなアスペクト比を有し機械的性質に優れるため, アルミナセラミックスの強化繊維として期待されている。これまでの研究で, CNTs/アルミナ複合体の破壊靭性はアルミナ粒径の影響を受けることがわかった。本研究では, 繊維径の異なるCNTsをアルミナに複合化し, 複合体の微構造変化および機械的性質に与えるCNTs繊維径の影響を検討した。複合体の平均アルミナ粒径は繊維径の細いCNTsを複合化するほど微細であった。繊維径のより細いCNTsを複合化すると, 複合体の破壊靭性はより大きくなった。繊維径のより細いCNTsの方がアルミナ粒界でより多数折れ曲がったため, CNTsのプルアウトに対する抵抗がより強くなり, 複合体の破壊靭性がより大きくなったと考えられる。