Progress of Digestive Endoscopy
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原著
胃GIMTに対する低侵襲治療の現状
東 大輔平澤 欣吾澤田 敦史國崎 主税前田 愼
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キーワード: EFTR, LECS, GIMT
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2024 年 105 巻 1 号 p. 23-27

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抄録

【背景】胃gastrointestinal mesenchymal tumor(GIMT)に対する標準治療は腹腔鏡下手術であるが,より低侵襲な内視鏡治療は普及していない.【目的】胃GIMTに対する内視鏡切除術の現状と課題を明らかにする.【方法】2014年から2024年までに当院において胃GIMTに対して内視鏡治療または腹腔鏡下治療が施行された102例を対象とした.内視鏡治療群(ER群)50例と腹腔鏡下治療群(LR群)52例を比較検討した.【結果】手術時間はER群/LR群:51/124.5分(p <0.01)とER群で有意に短く,R0切除率は有意差を認めなかった.ER群では30 mm以下の管内発育型腫瘍を適応としており,腫瘍径はER群/LR群:24/30 mm(p <0.01)とER群で小さく,管外発育病変はER群/LR群:4(8%)/15(29%)(p <0.01)とER群で少なかった.Clavien-Dindo Grade3aの偶発症を両群に1例ずつ認めた.ER群の偶発症は幽門前部小弯の遅発性穿孔であり,穿孔部へのPGA充填とOTSC縫縮により外科的治療を要さず保存的加療で改善した.【結論】経口回収可能な腔内発育型胃GIMTに対する内視鏡を用いた局所切除は腹腔鏡下手術と同等の安全性と確実性を有しつつ術時間を短縮できる可能性がある.

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© 2024 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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