2022 年 78 巻 6 号 p. II_374-II_384
交通問題の解決のために公共交通の利用を促進するモビリティ・マネジメントにおいて,その動機付け情報としてこれまで環境負荷や維持費等の負担,健康増進における公共交通の優位性が提示されてきたが,これらに加えて地域経済への貢献度においても公共交通は自家用車に対して優位であると考えられる.そこで本研究では熊本市を事例として,公共交通と自家用車それぞれへの支出の地域経済への貢献度を定量的に分析した.その結果,モビリティへの支出のうち熊本市に帰着する割合は,公共交通である熊本市電では59.91%,自家用車では39.98%となり,地域経済への貢献度における公共交通の優位性が示された.