抄録
症例は49歳男性。平成12年初旬より続くめまい・立ちくらみを訴え,7月中旬に近医受診。貧血と低蛋白血症を指摘され,精査加療目的で当院転院となった。上部消化管内視鏡で胃粘膜全体に無数の丈の高い隆起が多発し,鍾乳洞様所見も認められた。生検所見では若年性ポリープが疑われた。内科的治療に抵抗性であったため胃全摘術を施行した。摘出標本では,内視鏡所見同様の多発隆起と,一部,壁の肥厚が認められた。他の消化管や皮膚・粘膜・毛髪・爪に異常所見を認めず,胃限局性若年性ポリポーシスと診断した。本邦での本疾患の報告例は17例で,うち7例では腺癌の合併が報告されている。自験例では癌の合併は見られず,治療方針の決定に苦慮したが,内科的治療に抵抗性であり,積極的な手術が必要と考えられる。極めて稀な胃限局性若年性ポリポーシスを経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した。