Progress of Digestive Endoscopy
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症例
胃癌と胆石症を併存した骨髄異形成症候群の1例
岩瀬 博之渡部 脩
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2001 年 59 巻 2 号 p. 68-69

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抄録
 骨髄異形成症候群(以下MDS)に胃癌と胆石を併存した1例を経験したので報告する。症例は76歳,男性。1999年9月に貧血症状で外来受診。ヘモグロビン8.2g/dlで骨髄穿刺所見では骨髄は正形成で,顆粒球系は低形成,赤血球系形態に異常を認め,micromegakaryocyteも認められた。また末梢血中,芽球は1%以下で環状鉄芽球は10%であり,MDS(RA type)と診断された。また精査にて胃癌および胆石症の診断も受け,幽門側胃切除,胆摘術を施行した。胃癌はⅡc病変で,病理はtubular adenocarcinoma depth 3 ly(1+)v(1+)n 1(+)であり胆石はビリルビンカルシウム石であった。本邦で消化器癌を併存したMDSは自験例を含めて12例であった。男性8例,女性4例で,RA type, RAEB typeともに5例ずつであった。RAEB typeでは早期死亡例があり,消化器癌との予後の比較による適切な治療が大切と考えられた。また自験例はMDSに消化器癌と胆石を併存した初めての症例であり,胆道疾患との関連の解析が今後は待たれる。
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© 2001 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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