抄録
酸性水とグルタールアルデヒドを使用した内視鏡洗浄消毒により内視鏡外面のコーティング部が2,000例を超える頃よりざらざらした手触りの変化が見られたことから,そのざらつきの成分を分析した。1.ざらざらになった内視鏡の表面を50倍のデジタルマイクロスコープにより観察し,新しい内視鏡の表面と比較した。2.内視鏡外面をフーリエ変換赤外線分光光度計により分析して比較した。3.ざらざらになった内視鏡を廃棄して切断しざらざらの部分の表面を走査型電子顕微鏡により50倍,500倍,5,000倍にて観察した。4.剥離された物質の溶解のために有効な物質を検討し,次亜塩素酸ナトリウムが有効であり,劣化物質を溶解して中和,塩析,フリーズドライ法で粉末状として分析した。結論1.次亜塩素酸ナトリウムに溶解された物質は16種類のアミノ酸が定量された。これらの検索により内視鏡表面の硬く層状に重積した被膜は洗浄の際にわずかに残った蛋白質とグルタールアルデヒドが重合したものと考えられた。酸性水がどのように関与したかは判明できなかった。2.この硬い被膜の除去には,次亜塩素酸ナトリウムが有効であり,つやつやしたコーティング面が再現できた。今後は消毒前の洗浄に中性洗剤や酵素洗剤を用いるべきであり,グルタールアルデヒドの使用も見合わせるべきである。