Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
十二指腸低悪性度リンパ腫に対するHelicobacter pyloriH.pylori)除菌療法
滝沢 耕平小田 一郎鈴木 晴久江口 貴子濱中 久尚中島 健浦岡 俊夫小林 望後藤田 卓志松田 尚久斉藤 豊斉藤 大三中西 幸浩下田 忠和
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2004 年 64 巻 2 号 p. 38-41

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抄録

 【目的】胃MALTリンパ腫に対するH.pylori除菌療法の効果はほぼ確立した感があるが,胃以外の低悪性度リンパ腫に対する治療方針は未だ統一されていない。そこで我々は十二指腸原発低悪性度リンパ腫に対する除菌療法について検討した。【対象】1998年1月より2003年7月までに生検によって診断された限局期・十二指腸原発低悪性度リンパ腫の11例。【結果】11例中,MALTリンパ腫は5例,男性3例 : 女性2例,年齢28~65歳(平均48.6歳),部位は球部1例 : 下行脚4例,臨床病期は全例stageⅠ,濾胞性リンパ腫は6例,男性1例 : 女性5例,年齢50~83歳(平均62.5歳),部位は全例下行脚で,臨床病期はstageⅠ5例 : stageⅡ11例であった。肉眼形態は,11例全例で白色顆粒状隆起の集簇あるいは散在した所見であった。MALTリンパ腫4例(3例に胃病変あり),濾胞性リンパ腫2例に対してH.pylori除菌を施行した。MALTリンパ腫では,胃病変3例中2例は消失したが十二指腸病変の消失は1例にのみ認められた。濾胞リンパ腫では1例も効果は認められなかった。【結論】十二指腸MALTリンパ腫に対する除菌療法は,その奏効率は胃MALTリンパ腫より低いものの,その低侵襲性よりまず試みてもよい治療法であると考えられた。一方,十二指腸濾胞性リンパ腫においては,除菌療法の効果は期待できないと考えられた。

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© 2004 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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