Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2187-4999
Print ISSN : 1348-9844
ISSN-L : 1348-9844
臨床研究
直腸カルチノイド12症例の検討
平石 守飯塚 一郎天野 智文有賀 元上原 広嗣大和 滋松枝 啓
著者情報
キーワード: Rectal Carcinoid, Treatment
ジャーナル フリー

2005 年 67 巻 2 号 p. 45-49

詳細
抄録

 1988年3月から2005年5月までの間に,12例の直腸のカルチノイド腫瘍を経験した。症例の内訳は男性7名,女性5名,平均年齢57.7歳であった。病変の大きさは,固定後の切除標本での最大径で,5mm未満 : 7例,5~10mm : 2例,10~20mm : 3例,20mm以上 : 0例であった。これらの病変は,いずれも肛門縁より10cm以内にあり,小さなものは白色から黄色調の半球状の隆起やIsポリープ様の病変として認められ,10mmを越えるものでは,ポリープ様,あるいは中心陥凹を有する粘膜下腫瘍の所見を示していた。初回治療として,生検のみ : 1例,EMR : 1例,ポリペクトミー : 1例,経肛門的腫瘍切除 : 8例,直腸切断術 : 1例が行われた。EMRとポリペクトミーを施行した症例は,後日経肛門的腫瘍切除が施行された。腫瘍径が10mm以上の3例では,いずれもリンパ節への転移を認めた。そのうちの1例は肝転移を来して初回手術より6年5カ月後に死亡した。局所切除後に経過観察していた1例では,骨盤内のリンパ節転移を来し,初回手術より7年後に転移リンパ節の摘出手術を行った。その他の症例は,いずれも再発なく経過観察中である。直腸カルチノイドは,直径10mm以上の病変や,筋層まで浸潤した症例では高率にリンパ節転移を認め,当初より根治的な外科的治療が必要であると思われた。

著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
前の記事 次の記事
feedback
Top