Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
急性胆管炎に対する緊急ERCPの経験
山岸 由幸朴沢 重成相馬 宏光菊池 真大中野 雅今枝 博之相浦 浩一緒方 晴彦日比 紀文
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2008 年 73 巻 2 号 p. 116-119

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抄録
【目的】急性胆管炎初期治療における内視鏡的胆管ドレナージは診療ガイドラインにて推奨度Aであるが,その方法は各施設の方針に委ねられている。今回,緊急ERCPを施行した急性胆管炎例を検討し標準的ドレナージ法に適した方法につき考察した。【対象】2005年1月より2008年5月の間に緊急ERCPを施行した急性胆管炎56例を対象に,背景疾患,ドレナージ方法と合併症,転帰などにつき検討した。【成績】平均年齢70.7歳で,男女比27 : 29。疾患内訳は総胆管結石初回治療例が34例,悪性疾患初回例が4例,総胆管結石治療後例が3例,ステント留置後の症例が13例,その他(慢性膵炎,PSC)2例であった。重症度は重症9例,中等症43例,軽症4例であった。71.4%に脳・心血管系はじめ併存疾患があり,32.1%が抗凝固・抗血小板治療薬投与中であった。75%が検査時間枠外の処置で,ドレナージ法は96.4%でENBDを選択した(うち87%は乳頭処置をせず)。術後合併症としてENBD自己抜去は2例であった。血液培養陽性30%対し胆汁培養は96.1%で陽性で,84.3%で複数菌が検出された。92.6%でENBDより造影を施行し病巣評価に利用した。【結語】急性胆管炎に対する緊急ERCP,ENBD留置は比較的安全かつ起因菌同定,病巣評価の面からも有用性が高く,緊急時の対応として標準的なものになり得ると思われた。
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© 2008 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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