抄録
医療機器の進歩によりNBI(Narrow Band Imaging)・FICE(Flexible spectral Color Enhancement)といった光の特定波長に赤,緑,青を割付し擬似カラー表示する方法で微細な血管変化を強調させた画像表現ができるようになった。その結果,正常粘膜と悪性変化の少ない胃癌粘膜との境界もはっきりと識別でき,拡大観察することでその威力を発揮する。しかし,NBIは狭帯化投射光で光量不足のため内腔の広い胃内病変の拾い上げは困難で,NBI,FICEとも擬似カラー表示を行っているため,白色光での通常画像と色調がかなり異なり違和感が強く,スクリーニングでの病変拾い上げ検査には向かない。我々は通常光画像での胃粘膜病変の三原色における意味あいを検証した。その結果,緑は病変の情報が一番多く,病変の質的診断に最も寄与していた。赤は絶対的光量が多いが,散乱光が主で病変の詳細な情報には乏しく,むしろバックライト的に観察の支障になっていた。青は粘膜表面の反射光であり,絶対的光量が少なく詳細な病変の判別にあまり役立たなかった。実際の通常観察での通常光量の青では表面のぎらつき感が目立つため,病変の拾い上げには赤とともに青を減量したRGBバランスが有用であったので報告した。