抄録
症例は77歳の女性で,主訴は血便.2007年8月に子宮頸癌Ⅳ期の診断で,放射線化学療法(全骨盤外照射48.6Gy,腔内照射24Gy,シスプラチン20mg/日×5日間2クール)を施行した.2008年6月より血便が出現し,8月にHb 6.9g/dlと高度貧血を認め加療目的で入院となった。大腸内視鏡検査で肛門縁直上の下部直腸に白苔と血餅を伴った約1/2周性の巨大潰瘍を認めた。放射線直腸潰瘍の診断で保存的治療を施行するも改善を認めず,人工肛門造設術を施行した。術後経過良好で血便は消失し,第24病日に退院した。その後,潰瘍の増悪により膣との瘻孔形成が認められたが,本人の希望により経過観察中である。放射線直腸炎ではステロイド投与や,内視鏡的焼灼療法などの治療で軽快することが多い。しかし,重症化し潰瘍形成を伴う場合には,外科的治療を要することがあり,その後の経過にも注意を払う必要があると考えられた。