Progress of Digestive Endoscopy
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内視鏡の器械と技術
大腸ESDにおける新手技としての「3チャンネル法」の検討
梅谷 薫立松 秀樹佐藤晋 一郎桑原 智子
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キーワード: ESD, 大腸, 3チャンネル法
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2011 年 78 巻 2 号 p. 40-44

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抄録

 大腸腫瘍に対するESDの新たな手技として,我々は「3チャンネルスコープ法による大腸ESD(以下,3ch法)」を考案・施行している。今回は,その有用性と課題について,ESD従来法との比較検討を行った。本法はcounter―traction method(トラクション法)の一種であり,大腸2チャンネルスコープに,外づけ吊上げ鉗子を装着し,3つのチャンネルから「局注」「吊上げ」「剥離」の操作を施行する方法である。今回はESD従来法との比較を,(1)病変の切除長径,(2)切除所要時間,(3)剥離所要時間,(4)偶発症の有無から比較検討した。対象病変は当院と関連施設における大腸ESD 260例のうち,3ch法46例,従来法79例である。切除長径では両者に有意差はなかったが,平均切除所要時間は,従来法で51.7分,3ch法で31.0分。平均剥離所要時間は従来法で34.6分,3ch法で19.4分と,3ch法の方が有意に短時間で切除可能であった。切除時の穿孔例は,従来法の導入時などに5例(1.9%)認めたが,3ch法では認めなかった。輸血を必要とするような後出血は認めなかった。今後の方向性としては,SBナイフなど穿孔しにくいデバイスとの併用,操作性向上のための細径2チャンネルスコープの開発,病変との位置関係をリアルに把握するための3D画像の導入,将来のロボット手術化などが考えられる。以上のように,本法は大腸ESDを安全かつ迅速に行う方法として,きわめて有用な手技であると判断した。

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© 2011 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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