Progress of Digestive Endoscopy
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症例
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN),胆管狭窄の質的診断における膵・胆道内視鏡:スパイグラス(Spyglass)の有用性
喜多 絵美里原 太郎中村 奈海廣中 秀一中村 和貴須藤 研太郎傳田 忠道山口 武人伊丹 真紀子
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キーワード: Spyglass, IPMN, 胆管狭窄
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2011 年 78 巻 2 号 p. 74-77

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抄録

【背景】近年,本邦で新しく導入された膵・胆道内視鏡,スパイグラス(Spyglass:Boston scientific社製)は細径ながら4方向のアングル機能を兼ね備えたDisposable経口膵・胆道内視鏡である。【目的】膵・胆道疾患におけるスパイグラスの病変観察能,生検診断能を検討した。【対象と方法】胆膵疾患精査目的の10例に対し,スパイグラスを用いた膵・胆道内視鏡を行った。内訳は膵管内乳頭粘液腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)5例,胆管狭窄5例(胆管癌2,膵癌1,良性狭窄2)である。【結果】乳頭切開後症例を含め,全例で乳頭口からの挿入が可能であった。深部挿入に関し,膵管では2例が尾側まで挿入可能,胆管では4例(80.0%)が1次分枝,1例(20.0%)は肝門部まで挿入可能であった。病変観察は全例で行うことができ,また水平進展度診断は胆管癌では1/1例,IPMNでは3/5例(60.0%)で病変範囲の評価が可能であった。
 内視鏡直視下生検は試みた9例中8例(88.9%)で検体採取でき,採取された検体はすべて病理組織診断による診断が可能であった。最終的にスパイグラスにより,9/10例(90%)で診断確定が得られた。【結論】スパイグラスは膵,胆管への深部挿入が容易であり,良好な病変観察能に加え,良質な検体採取が可能であった。今後,IPMN,胆管狭窄の精密な診断に有用であると考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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