Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
大腸カルチノイドのリンパ節転移因子についての検討
前田 康晴工藤 進英森 悠一遠藤 俊吾池原 伸直林 武雅和田 祥城若村 邦彦宮地 英行山村 冬彦日高 英二石田 文生大塚 和朗田中 淳一浜谷 茂治
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2011 年 79 巻 2 号 p. 46-50

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抄録

当センターで内視鏡的,あるいは外科的に切除された腫瘍径20mm以下の大腸カルチノイド連続71症例のうち,リンパ節転移の評価が可能であった51症例を対象として,リンパ節転移に関与する各臨床病理学因子およびリンパ節転移危険因子としての脈管侵襲の意義について検討した。リンパ節転移は19.6%(10/51)に認めた。リンパ節転移危険因子についての単変量解析では,色調,形態,delle,リンパ管侵襲,静脈侵襲の5因子が有意な因子として抽出された(P<0.05)。さらに脈管侵襲については,HE染色単独で評価された群ly(HE),v(HE)と特殊染色併用(D2―40およびビクトリアブルーVB)で評価された群ly(D2―40),v(VB)に分けて解析し,それぞれのリンパ節転移に対する診断能を比較した。それぞれの感度,特異度,陽性適中率はly(HE)で60.0%,96.3%,75.0%。ly(D2-40)では80.0%,33.3%,30.8%。v(HE)では80.0%,96.3%,80.0%。v(VB)では80.0%,46.2%,36.3%であった。特殊染色併用で評価された群はリンパ節転移に対する特異度が有意に低かった(P<0.05)。特殊染色による脈管侵襲判定の意義については更なる検討が必要と考えられる。

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© 2011 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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