Progress of Digestive Endoscopy
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内視鏡の器械と技術
胃癌の横行結腸浸潤によるイレウスにWallFlex colonic stentが著効した1例
田中 匡実島田 祐輔原田 舞子林 昌武佐々木 善浩上市 英雄川村 紀夫平田 啓一
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2014 年 84 巻 1 号 p. 40-42

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抄録

【症例】65歳,女性。【現病歴】2012年12月に自宅にて吐血し,近医に救急搬送。噴門部胃癌からの出血を認め,止血困難なため当院救急搬送となった。当院で行った緊急上部消化管内視鏡検査では,動脈性の拍動性出血を認め,内視鏡的止血術では治療困難と判断し,外科にて緊急胃切開切除術に加え,胃全摘+脾摘+膵尾部切除術を施行された。術後は経過順調により退院し,外来で経過観察をしていた。2013年3月上旬に腹痛のため外来受診し,精査の結果,胃癌の腹膜播種による横行結腸浸潤に伴う大腸イレウスの診断で,緊急再入院となった。【経過】著明な体力低下に加えて本人の希望もあり,人工肛門造設術は施行せず大腸ステントの挿入予定となった。下部消化管内視鏡検査を実施したところ,脾彎曲部に狭窄を認めWallFlex colonic stentを挿入した。翌日より排ガスを認めたものの,イレウス管造影でステントの口側に別の狭窄を認めたため,5日後に再度ステント挿入術を施行した。翌日から排便を認め,食事摂取も可能となり退院となった。【考察】大腸ステントは本邦では2012年に保険適用となった。それまでは悪性腫瘍による大腸イレウスに対して,経肛門的ステントや人工肛門造設術しか選択肢がなかった。大腸ステントが保険適用となったことで,患者にとってはよりQOLの高い選択肢が増えたと考えられる。

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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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