Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
経皮内視鏡的胃瘻造設時の咽頭留置持続吸引の有用性
谷田 恵美子和泉 元喜土谷 一泉大熊 幹二林 依里日高 章寿野口 正朗内田 苗利阿部 孝広伊藤 善翔永野 智久益井 芳文吉澤 海阿部 剛白濱 圭吾金崎 章
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キーワード: PEG, 誤嚥, 持続吸引
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2014 年 84 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

 経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)中の誤嚥を防ぐため,当院では口腔咽頭内分泌物を下咽頭で持続吸引する留置持続吸引法を行っている。同方法の有効性を検討するため,胸部CTを用いて評価した。2010年11月〜2013年3月にPEGを施行し,事前に研究への同意を得られた60症例を対象とした。術直前に胸部単純CTを撮影した後,術中に留置持続吸引法を行う群(持続吸引群)と,術中に口腔内に分泌物が貯留した時など必要に応じて用手的に吸引を行う群(従来法群)に無作為に振り分けた。翌日にも胸部単純CTを撮影し,変化を評価した。術当日から翌日の朝にかけての体温・血中酸素飽和度・血中白血球数・C reactive protein(CRP)値の変化,術中の分泌物吸引量,PEGが原因となった術後肺炎の発症数を調査し,それぞれについて2群間での比較をした。その結果,持続吸引群では胸部CTの変化を認めなかったが,従来法群で有意に多くの変化を認めた(0% vs 33%,P<0.001)。術中吸引量は持続吸引群で有意に多かった(2ml vs 0ml,P=0.02)。術後肺炎の発症数に差は認めなかった。留置持続吸引法は,効率的な分泌物除去により,誤嚥による呼吸器の不顕性変化を抑制したものと考えられ,誤嚥予防に有効であった。

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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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